メールマガジン「中学受験 田中貴.com通信」のご案内

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田中 貴(たなかたかし)
東京教育大付属駒場中・高を経て、慶応義塾大学経済学部卒業。元修学社(学習指導会)社長。退任後複数の塾のプロデュースを担当。
フリーダムオンライン 主宰。

塾に行かない方法はない?

夏休みが近づくと、「夏期講習は当然行くもの」と考えがちです。

もちろん、塾に通うことで得られるものはあります。決まった時間に授業があり、周りに受験生がいて、一定の緊張感の中で勉強できる。これは大きな利点です。

ただ、今年の夏、本当に毎日塾に行かなければならないのか。そこは一度立ち止まって考えてみても良いでしょう。

特に6年生の夏は、全員が同じ内容を同じ順番で復習する時期になりがちです。しかし、子どもによって穴は違います。算数の速さが弱い子もいれば、理科の知識が抜けている子もいる。国語の記述に時間がかかる子もいれば、社会の地理を忘れている子もいる。

本来必要なのは、「夏期講習に全部出ること」ではなく、「この夏に何をできるようにするか」を決めることです。

塾に行くと、授業時間だけでなく、移動時間、食事の時間、宿題に追われる時間も増えます。その結果、肝心の弱点補強や志望校対策に手が回らない、ということも少なくありません。

一方で、今はオンラインでもできることがかなり増えています。

過去問の解説を動画で確認する。わからない問題を個別に質問する。必要な単元だけ復習する。答案を送って添削してもらう。志望校に合わせて、今やるべき問題を絞る。こうしたことは、必ずしも教室に通わなくてもできます。

むしろオンラインの良さは、子どもの状況に合わせやすいところにあります。

できている単元をもう一度聞く必要はありません。わからないところだけ戻れば良い。今日は算数、明日は理科、というように、その子の優先順位で組み立てることもできます。移動時間がない分、休憩や睡眠を確保しやすいのも大きいでしょう。

夏は長いようで、実際にはそう長くありません。講習、宿題、模試、過去問、学校見学。いろいろ入れていくと、自由に使える時間は意外に限られています。

だからこそ、「塾に行くか行かないか」ではなく、「何のためにその時間を使うのか」を考える必要があります。

塾に行くことで、今必要な勉強が進むなら行けば良い。けれど、ただ予定を埋めるため、周りが行くから、先生に言われたから、という理由だけなら、見直す余地があります。

子どもは、自分でやれる力を持っています。ただし、その力を出すためには、やることがはっきりしていなければなりません。

この夏に克服する単元は何か。志望校の過去問に向けて、どの教科を優先するのか。塾の宿題はどこまでやり、どこからは取捨選択するのか。

そこを家庭で整理できれば、オンラインを使った学習でも十分に成果を出すことができます。

大事なのは、教室にいる時間の長さではありません。子どもが、自分に必要な勉強にどれだけ集中できるかです。

「塾に行かなければならない」と決めつける前に、この夏、わが子に本当に必要な学び方は何かを考えてみてください。オンラインでできることは、思っている以上に多いのです。

子どもは自分でやる力を持っている

子どもは、思っている以上に自分でやれる力を持っています。

もちろん、最初から何でも一人でできるわけではありません。問題の読み方が甘かったり、答え合わせが雑になったり、わからない問題をそのままにしてしまったりすることはあります。けれど、それは「自分ではできない」という意味ではありません。

大事なのは、子どもが自分で進められる形を用意することです。

オンライン学習の良いところは、授業を受けるだけで終わらないことです。わからないところをもう一度見直す。解説を止めて考える。自分のペースで問題を解き直す。必要なときに質問する。こうしたことが、家庭の中でできるようになります。

通塾では、どうしても塾の時間割やクラスの進度に合わせることになります。もちろん、それが合う子もいます。しかし、すべての子が同じ速度で理解するわけではありません。ある単元はすぐ進めるが、別の単元では時間がかかる。そういう差は、どの子にもあります。

オンラインであれば、その差に合わせやすいのです。できるところは先に進み、止まるところは戻って確認する。間違えた問題は、解説を見て終わりにせず、自分でもう一度やってみる。そういう学び方を続けるうちに、子どもは少しずつ「自分で勉強を動かす」感覚を持つようになります。

親が横について、全部を管理し続ける必要はありません。むしろ、いつまでも大人が先回りしていると、子どもは自分で考える機会を失います。必要なのは、管理ではなく、環境を整えることです。

今日やることが見えている。わからないときに戻れる教材がある。質問できる場所がある。自分のペースで続けられる。そういう仕組みがあれば、子どもは自分で進めることができます。

中学受験は、ただ知識を詰め込むだけのものではありません。自分で読み、自分で考え、自分で直していく力を育てる機会でもあります。

だからこそ、オンラインで勉強することには大きな意味があります。子どもは自分でやれる。その力を信じて、必要な道具と仕組みを用意していくことが、これからの学び方だと思います。

条件を見落とす子

試験や模試で「わかっていたのに間違えた」という答案が続くと、不安になるものです。ただ、その多くは学力不足というより、問題文の条件を見落としていることから起こります。

条件を見落とす子は、解き方を知らないわけではありません。むしろ、早く解こうとして、問題文を最後まで丁寧に読まないまま手を動かしてしまうことが多いのです。

特に注意したいのは、数字、単位、範囲、否定語です。「すべて」「少なくとも」「整数で」「最も近いもの」「あてはまらないもの」などの言葉を読み飛ばすと、考え方が合っていても答えはずれてしまいます。

また、図形や文章題では、本文に書かれている条件と図に見えていることが違う場合があります。図だけを見て判断したり、自分で勝手に条件を補ったりすると、そこで誤答につながります。

まずは、問題を読んだあとすぐに解き始めるのではなく、「何が与えられているか」「何を求めるのか」を一度確認する習慣をつけましょう。必要なら、条件を一行でメモしてから解き始めてもよいでしょう。

このとき大事なのは、きれいにまとめることではありません。数字や単位、向き、範囲など、間違えやすい条件を自分の目で確認できれば十分です。

子ども自身に持たせたい問いは、「この条件は使ったか」「求められているものと答えは合っているか」「単位や向きは正しいか」の三つです。解き終わったあとに、この三つだけでも確認できれば、ミスはかなり減っていきます。

練習としては、いきなり多くの問題を解かせるより、短い時間で条件だけを確認する訓練が有効です。たとえば5分で3問、解かずに条件だけを拾う練習をすると、どの言葉を読み飛ばしやすいかが見えてきます。

条件を見落とす子に必要なのは、「もっと気をつけなさい」という注意ではありません。解く前に条件を確認し、解いた後にもう一度条件へ戻るという手順を決めることです。

次の問題から、問題文を読む、条件を確認する、解く、最後に条件に戻る。この順序を意識してみてください。小さな手順ですが、得点の取りこぼしを減らす大事な習慣になります。

途中式を疑うクセ

算数の答案を見ていると、途中式を書いているのに、そこで間違いに気づかず、そのまま最後まで進んでしまうことがあります。式を書いているから安心、というわけではありません。大事なのは、途中式を一度疑ってみるクセです。

特に注意したいのは、式が一行変わるところです。分数を通分した、符号が変わった、単位をそろえた、図の数字を式に移した。こういう場面で小さなミスが入りやすいのです。

だから、全部を見直す必要はありません。まずは一問につき一か所だけ、「ここは本当にそうなるか」と自分に聞いてみる。説明できればそのまま進む。説明できなければ、そこに印をつけてもう一度考える。それだけで、答案の見方は変わります。

試験中は時間も限られていますから、長く立ち止まる必要はありません。ただ、答えが少し変だと思ったとき、計算が急に複雑になったとき、消し直しが多いところは危険信号です。そこだけ優先して確認すればよいのです。

途中式は、書けば終わりではありません。自分の考えが本当に正しくつながっているかを確かめるためのものです。次の演習では、一つの式だけでよいので、「なぜこうなるのか」を一言で説明してから次へ進んでみてください。

ミスを防ぐには?

試験のたびに、あとから見ると「わかっていたのに」というミスが出ることがあります。

これは、決して珍しいことではありません。特に中学受験の勉強では、問題の量も多く、時間にも追われるので、どうしても読み落としや計算ミスは起こります。

ただ、ミスを完全になくそうとするよりも、「自分はどこで間違えやすいか」を少しずつわかっていくことが大事です。

よくあるのは、まず設問の読み落としです。「整数で答えなさい」「小数第1位まで」など、最後の条件を見落としてしまう。答えは出ているのに、求められた形になっていない、ということがあります。

また、文章題では「合計」「差」「平均」などの言葉を早く決めつけてしまうこともあります。図形でも、どこの長さや面積を求めているのかを取り違えることがあります。

計算では、桁のずれや写し間違いが多いでしょう。途中では合っていたのに、最後に答えを書くところで違ってしまうこともあります。

だから、見直しをするときは、全部をもう一度解き直す必要はありません。まず「何を求める問題だったか」を見る。次に、答えの単位や桁を見る。そして最後に、計算の大事なところだけを確認する。この順番で十分です。

特に大事なのは、答えを書いたあとに、もう一度設問を見ることです。「この答えで、問題の聞いていることに答えているか」と確認するだけでも、かなりミスは減ります。

ミスをしたときも、ただ「気をつけよう」で終わらせない方が良いでしょう。問題番号と、どんなミスだったかを一言だけ書いておく。読み落としなのか、計算なのか、単位なのか。それがわかると、次に注意する場所がはっきりします。

ミスを防ぐ力は、一度に身につくものではありません。けれど、自分の間違い方に気づけるようになると、少しずつ点数は安定していきます。

まずは次の練習で、「答えを書く前に、設問をもう一度見る」。これだけを意識してみてください。小さな確認の積み重ねが、結果として大きな差になります。

学習を戻す順番

しばらく勉強が止まったとき、いきなり前の量に戻そうとすると、かえって続かなくなります。

まず戻すのは、問題の量ではありません。決まった時間に机に向かい、短い課題を最後まで終えることです。ここが戻らないうちに難しい単元へ進んでも、途中でまた止まってしまいます。

次に見るのは、どこまで自分で直せるかです。間違えた問題をすぐ答え合わせで終わらせるのではなく、なぜ違ったのかを一つだけ言葉にしてみる。全部を説明できなくてもかまいません。自分で気づく部分を少しずつ増やすことが大事です。

塾の進度に追いつくことばかり考えると、どうしても焦ります。しかし、抜けたところをそのままにして先へ進めば、後でまた同じところで止まります。急ぐべきなのは量ではなく、学習のリズムと直し方です。

学校別対策も同じです。過去問を何年分も急ぐ前に、問題文を最後まで読む、条件を落とさない、答えを出したあとに確かめる。そういう基本の動きを戻しておく必要があります。

一度止まった学習は、無理に取り返すものではありません。まず小さく再開し、続けられる形に戻す。その上で、必要な単元や志望校の課題へ進む。順番を間違えないことが、いちばん早い立て直しになります。

学校のペースに振り回されない

中学受験を始めると、どうしても「今のペースで間に合うのか」という不安が出てきます。

学校の授業はそこまで難しくないけれど、ところどころ苦手が残っている。市販教材を進めても、できる単元とできない単元の差がある。そうなると、「もっと先に進めた方が良いのか」「苦手を深掘りした方が良いのか」と迷うことになります。

しかし、2年間で中学受験を完結させるのであれば、大事なのは、むやみに先へ進むことではありません。

まず、今できていないことをはっきりさせることです。

中学受験の勉強は、量を増やせば何とかなる、というものではありません。むしろ、できないところをそのままにして先へ進むと、後から戻るのが大変になります。だから、最初に見るべきなのは、「どこまで進んだか」ではなく、「どこで止まっているか」です。

たとえば算数であれば、計算で間違えているのか、問題文を読み違えているのか、考え方そのものがわかっていないのかを見ます。同じ不正解でも、原因はまったく違います。

計算ミスであれば、毎日の短い練習で整えることができます。問題文の読み違いであれば、線を引く、条件を書き出す、といった手順を身につければ改善します。しかし、考え方がわかっていない場合は、そこは一度立ち止まって説明を聞き、もう一度自分で解いてみる時間が必要です。

この見極めをしないまま、ただ教材を増やしたり、先の単元に進んだりしても、なかなか力はつきません。

田中貴社中が大事にしたいのは、2年間で、無理なく、無駄なく、親子で楽しく受験勉強を進めることです。

そのためには、塾のペースや周囲の進度に合わせすぎないことが大切です。早く進んでいる子を見ると不安になりますが、受験勉強は競争して先に進むものではありません。最後に、必要な力が身についていればよいのです。

家庭でできる確認は、難しいものではありません。

直近で間違えた問題を10問ほど見てください。そして、その間違いを大きく三つに分けます。

一つ目は、計算や写し間違いなどのミス。二つ目は、問題文の読み違い。三つ目は、考え方そのものがわかっていないものです。

このうち、三つ目が多い単元は、急いで先へ進めるよりも、もう一度深掘りした方がよい単元です。逆に、考え方はわかっているのにミスが多いだけなら、基本練習を続けながら次へ進んでもよいでしょう。

もう一つ有効なのは、子どもに説明してもらうことです。

「この問題、どう考えたか教えてくれる?」と聞いてみる。説明ができるなら、理解はある程度できています。説明が途中で止まるなら、そこが本当のつまずきです。

親が全部教える必要はありません。むしろ、親が先生役を背負いすぎると、親子ともに疲れてしまいます。大事なのは、子どもがどこで困っているかを見つけることです。

オンラインで完結する中学受験では、この「つまずきの発見」と「必要なところだけ深掘りする」ことがとても大切になります。

毎日長時間勉強する必要はありません。やるべきことをしぼり、今必要な単元を丁寧に扱う。わかっているところは無駄に繰り返さず、わかっていないところに時間を使う。これが、無理なく進めるための基本です。

もちろん、受験勉強ですから、いずれは演習量も必要になります。過去問に向けた得点力もつけなければなりません。ただ、その土台になるのは、やはり一つひとつの理解です。

最初から大量の宿題や先取りに追われる必要はありません。

まずは、今の学習の中で、どこが本当にわかっていないのかを見つける。そして、そこを短い期間で一つずつ直していく。それを積み重ねれば、2年間でも十分に中学受験の準備は進められます。

大事なのは、周囲のペースに振り回されないことです。

子どもには、それぞれ理解の順番があります。すぐにわかる単元もあれば、少し時間がかかる単元もあります。それを無視して先へ先へと進めば、勉強は苦しいものになります。

逆に、つまずきを見つけて、そこを乗り越える経験を積めば、子どもは少しずつ自信を持ちます。

中学受験は、親子を追い込むためのものではありません。2年間で、無理なく、無駄なく、親子で楽しく進める。そのために、まずは学校や塾のペースではなく、子どもの理解のペースを見ていきましょう。

塾を決める前に

塾をまだ決められないとき、まず大事にしたいのは、生活のペースを大きく乱さないことです。

中学受験を始めるとなると、どうしても「早く塾を決めないと」「遅れるのではないか」と考えがちです。しかし、子どもの生活が急に崩れてしまうと、勉強以前に疲れがたまります。眠る時間が減る、食事が遅くなる、家庭の空気が落ち着かなくなる。そうなると、学習の効果も上がりにくくなります。

もちろん、受験勉強には一定の時間が必要です。ただ、それは生活を全部塾に合わせる、という意味ではありません。まずは今の家庭のペースの中で、どの時間なら無理なく勉強できるかを見ることです。短い時間でも、続けられる形を作る方が大事です。

もう一つ気をつけたいのは、塾にあまり煽られないことです。「今始めないと間に合わない」「このコースに入らないと厳しい」と言われると、不安になるのは当然です。しかし、その言葉をそのまま家庭の判断にしてしまうと、必要以上に予定も宿題も増えていきます。

塾は塾の都合でカリキュラムを組みます。家庭には家庭の事情があり、子どもには子どものペースがあります。そこを無視して走り出すと、あとで親子ともに苦しくなります。

まずは、生活のペースを守ること。その上で、子どもが続けられる学び方を選ぶこと。塾選びは、その順番で考えればよいのです。

宿題はきちんとやるのに力がついていない?

宿題はきちんとやっている。

ノートも埋まっているし、提出もしている。親から見ても、決してさぼっているわけではない。

ところが、テストになると点が取れない。前にやったはずの問題をまた間違える。少し形を変えて聞かれると、手が止まってしまう。

こういうことは、実は少なくありません。

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オンラインと対面、どちらを優先するか

オンライン授業も便利になり、週末の対面塾と組み合わせて学習を進めるご家庭も増えてきました。

ただ、そこで迷うのが、どちらを中心に考えるか、ということです。

平日の夜にオンラインで見てもらう方が時間は使いやすい。移動もありません。録画やチャットのやり取りが残れば、あとで復習もしやすいでしょう。

一方で、週末の対面授業には、先生が子どもの様子を直接見られるという強みがあります。手が止まっているのか、何となく聞いているだけなのか、説明を受けたあと自分で解き直せるのか。こういう部分は、やはり対面の方がつかみやすいところがあります。

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